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​鍼灸治療について

​鍼灸治療の種類

黄帝内経.png

鍼灸治療は数千年の歴史があるだけに、日本だけでも多くの流派があり、時代や地域によってかなりの違いがあります。

例えば日本鍼灸と中国鍼灸、韓国鍼灸はそれぞれ別の発展をしておりますので、その針の形状や刺し方などもかなり違います。現代日本で行われている鍼治療は無痛切皮と言って、極力痛みの出ない最適な方法で行う刺鍼法がとられております。筒の使ってトントンと刺す方法で、非常に痛みが少ないと海外でも広く使用される方法となりました。

鍼灸医学で使用される経穴(ツボ)の位置に関しては、WHOの世界標準がありますが、実は標準以外のツボの数の方が多いので、それぞれの国や地域で特徴的なツボを使用している事もあります。

日本における鍼灸事情も様々で、関西などでは小児鍼が比較的に多く行われているのに対し関東は現代医学的な鍼が多く行わているように感じます。

また、各鍼灸院での違いも大きく、治療の時間帯や鍼の刺す本数も全く違いますので、一口に鍼灸治療といっても鍼灸師の数だけ違いがあると言えます。よって治る・治らないの差もあるのが現実です。

当院では伝統医学の奥義的な方法に加えて、現代医学の理論的な治療法を経験則から組み併せて、それぞれの体質や病に対して、最適な方法で治療致します。それが実現できるのは完全に個別で一人ひとり治療が出来るからであり、当院の大きな長所です。

【当院で行う鍼治療の種類】

①伝統的鍼灸治療(古典的治療法・中医学的治療法)

②現代医学的鍼灸治療

③刺さない鍼治療(経絡治療・ツボ刺激療法・てい鍼療法)

④耳鍼(中医学的耳鍼・ノジェ式耳鍼)

⑤頭皮鍼

⑥刺絡

​鍼灸治療の種類と内容

​経絡とはなにか?

経絡図 肺経.gif

【経絡(けいらく、Meridian)とは】

古代中国医学において、人体の中の氣血水(氣や血や水などといった生きるために必要なもの、現代で言う代謝物質)の通り道として考え出されたものである。経は経脈を、絡は絡脈を表し、経脈は縦の脈、絡脈は横の脈の意。

経脈は十二の正経と呼ばれるものと、八の奇経と呼ばれるものがある。正経は陰陽で分類され、陰は太陰、少陰、厥陰の三陰に、陽は太陽、陽明、少陽の三陽に分けられ、手、足それぞれに三陽三陰の属する経脈が割り振られて計十二脈になる。そして、陰経は臓に属して、陽経は腑に属する。経脈には経別と呼ばれるものもある。経脈は十五経脈とその他の絡脈、その中でさらに分かれて小さくなった孫絡がある。その他、五臓六腑を纏わない経筋と呼ばれるものもある。上記全てを併せて、経絡と呼ぶ。

この体中に張り巡らされた経絡を整える事が、東洋医学の神髄であり、筋骨の歪みを調節し、血液の流れを円滑にして、身体に染み付いてこわ張っていた精神ストレスをやわらげ、自律神経の機能や内分泌の働きを改善させて、それが内臓の機能を回復させることに繋がっていきます。

経絡チャート.png

​さまざまな治療を組み合わせて行っています

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​刺さない鍼

​耳鍼(耳ツボ療法)

​頭皮鍼

​刺絡療法

​お灸治療

お灸 もぐさ.jpg

①伝統的刺鍼法

経絡と経絡上のツボ、そして古くから伝わる効能効果を利用して治療を行います。

簡易的には、経絡は各内臓に連絡しているので、不調があればその内臓に関係する経絡とその経絡上のツボを治療点として治療を行っていきます。四肢や首、腰などの痛みは痛みのある部位もしくは痛みの出ている経筋に治療を施します。

​身体を診察すればどのツボが弱っているかなども凡そ分かりますので、それぞれの疾患や体質に併せた最適な治療穴を用いて治療を行います。

現在の鍼灸は過去から引き継がれた流派など、多種多様な治療法があります。

よく知られているものに太極療法、経絡治療、中医学、脈診流、積聚治療、長野式、北辰会方式、陰陽太極鍼、打鍼術、良導絡治療、YNSA、現代医学的な鍼などがあります。また、韓国ドラマ「ホジュン」などの東医宝鑑による韓国針もあります。それぞれに特徴があり、誕生した時代背景も違うためどれが優れた治療であるかを判断することは難しいです。また、治療者の腕や知識に差がありますので、同一の流派の治療法であっても、効果は全く違くものになります。

また最新の現代医学の知識も不可欠で、各流派の過去の治療法は常に更新され、進化していく必要があります。

私たち鍼灸師は、多様な治療の中から自身にあった治療を探し、治療をしております。当院では、日本人にあった治療法として、平安時代に丹波康頼が著した『医心方』を読み解き治療法の研究をしております。また、各流派の良い部分も取り入れて、流派にとらわれない新しい治療法を行っております。

②刺さない鍼

伝統的に刺さない治療法がいくつかありますが、いずれも共通して経絡やツボを使用します。

​当院では、修業時代に長くお世話になった吉川正子先生の”陰陽太極鍼”を中心に刺さない治療法も行っています。身体の気の流れを整えるのに十分な効果がありますので、刺す鍼が苦手という方にはお勧めできます。

また刺す治療ではないので、効果のあるツボを覚えれば、自身で治療したいという方にもお勧めです。

​王不留行(おうふるぎょう)という漢方の種をツボにおく治療になります。

 

 

 

 

​③耳鍼

フランスのノジェという医師が開発した反射区(耳つぼ)と中国で使用される耳つぼを併用して行っております。

ノジェ式の耳つぼは自律神経系や内分泌系まで広く網羅されているので、西洋医学に準じた治療が可能であり、中国の耳つぼは経絡との相性が良く、更に初心者にも複雑な耳つぼを覚えるのに最適です。

​例ですが、ダイエットのツボは、食欲を抑えるツボや代謝が向上するツボ、消化器系の働きを整えるツボを使用します。

PTSDやパニック発作などの治療では、帯状回、視床、オメガ2点、ゼロポイント、神門という5つのツボを使用します。こちらは、米軍医でもあるリチャード・C・ニムゾフが戦場から帰ってきたアメリカ兵のPTSDに使用し効果があったとNHKでも放送された事がありました。

当院では、通常治療と併用して耳鍼も行います。耳つぼへは王不留行の種を使用して刺激を与えますので、実際鍼を刺すことは殆どありません。

​④頭皮鍼

現代医学的な見地でも頭皮鍼の研究の効果として、針刺激が脳の働きに作用して鎮痛効果示し、鎮痛物質であるエンドルフィンを分泌することが証明されています。

頭皮鍼は大きく分けて焦氏頭鍼法、朱氏頭皮針法、山元式新頭針法(YNSA)の3つの種類があります。通常、鍼灸治療で使用される頭のツボとは別の概念で形成された治療です。

1960年代、焦氏頭鍼法は中国の焦順発医師が開発。

1980年代、朱氏頭皮針法は朱明清医師の元で開発。

同じく、1980年代に山元式新頭針法=YNSA(Yamamoto New ScalpAcupuncture)は日本の山元敏勝医師により開発。

当院では、基本的な治療の補助として行っています。朱子頭皮針法と焦氏頭鍼法を現代的な医学知識に基づいて頭皮鍼を行っております。

焦氏頭鍼法は、大脳皮質の機能局在を基本として頭皮に投影させており、当院でもそれに準じて最新の脳の機能局在の箇所に刺鍼を行っています。朱氏頭皮針は焦氏頭針法の流れを引き継いでいるので、この意味でこの両者の治療を取り入れている形になっています。

基本的には、脳卒中などによる麻痺、パーキンソン病、疼痛・関節痛、神経痛、不定愁訴、精神的な疾患・うつ病などに効果があるとされています。

 

 

 

 

 

​⑤刺絡

日本経絡学会の発表では、 『刺絡は“血路”即ち血脈と経脈との結節点である絡脈や孫絡に留滞した血を動かすことで気を巡らし、経気の運行の通路である経絡系統の機能を調え、去邪治病の効果を脅すものである。』とされています。専門用語が多いので少し難しいのですが、身体の末端部の血の巡りを動かす事で、身体全体の経絡を整える治療法をいいます。この治療法は、現代医学でも研究されており、【自律神経免疫療法】として新潟大学医学部医動物学講座教授である故・安保徹先生と臨床医である故・福田稔先生が研究しました。当院では基本的に手の指の末端に対して、無血刺絡療法を行っておりますが、重症患者(麻痺・重度の認知症・酷い腫物・難治性自己免疫疾患)の場合にのみ通常の刺絡療法を提案することがあります。

 

 

 

お灸

現在行われているお灸にもいくつかの方法と流派があり、施術の方法は一様ではありません。民間でも枇杷の葉灸やニンニク灸などが広く知られており、家でされたことがある方もいるかもしれません。

当院で行うお灸は、ゴマサイズに捻ったもぐさを燃やす方法と、棒灸を使用して患部を温める方法を行っています。​痛みのある患部にお灸をすると非常に気持ちがよく、熱さを感じることは殆どありませんが、効果が現れてくると急に熱さを感じやすくなります。

当院では、逆子や妊活の治療でお灸を多用しています。また、麻痺やリウマチなどの痛みに対しても効果があるため使用する事があります。

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